家が浸水した! 水が引いたらするべきこと【西日本豪雨の教訓から】




近年のゲリラ豪雨、大雨は激しさを増しています。2018年7月6日の大雨も九州~関西の広範囲に特別警報が発令され、あちこちで大規模な土砂災害が発生しました。尾道にある夫の実家も被災しました。
もし浸水、川の氾濫、土砂災害によって家に土砂や水が入ってきたらどうするべきなのでしょうか?
後片付けの参考にお役立てください。

浸水後にやることリスト

2018年7月7日、前日から勢いづいてきた雨は一晩中止むことはなく、特別警報のアラームがひっきりなしに鳴り続けました。夫の実家は海に近く、海抜が低いエリアです。あっという間に水がたまり、床上浸水。水は、腰のあたりまでやってきました。そして海抜の低さゆえに水がはけず、3日間ほど水に浸かり続けました。

実は過去の大雨で一度だけ床下浸水を経験していますが、今回は床上です。

なので、とりあえず何をするべきなのかあわててネットで検索した情報をここにまとめておきます。我が家の場合は床上浸水ではあるものの土砂崩れ等はなかったので、純粋に海水まじりの泥水に浸かった感じです。

西日本豪雨で何が大変だったって、実は家の片づけより断水でした。水が出なければ泥まみれの家も洗えない。尾道市全域に水道を供給する浄水場が土砂崩れで使えなくなり、約1か月にわたり水道が使えない状態が続きました。

なのですが、今回は「水道が使える場合」の対処法をご紹介します(使えないと何もできないですから…)。

主にやることは以下の6つです。

  1. 被害状況を写真で撮る
  2. 罹災証明を申請する
  3. 泥を水で流す
  4. 基礎の上の水を排水する
  5. 消毒する
  6. 乾燥させる

火災保険のために写真を撮影する

火災保険に水害をつけている場合は、申請をすれば保険が下ります。ただ商品によって細かく条件が違うので、そこは各自確認をする必要があります。一般的に水害の支払要件は

  1. 建物または家財それぞれの時価の30%以上の損害
  2. 床上浸水または地盤面から45cm超える浸水による損害

となっていることが多いので、床上浸水した際は、被害状況(特に水の高さ)がわかるうちに写真を撮影しておきます。

罹災証明を申請する

市区町村の窓口に、被害状況がわかる証拠写真を添えて申請を出します。自治体の職員が現場を確認後、罹災証明書が発行されるのですが、これをもとに保険金や義援金が決定します。

罹災証明ですが、申請後、職員が確認に来るという工程を経るため、大規模災害だと発行してもらうまでに時間がかかることがあります。そういうときは、罹災証明書の申請中であるという「罹災届出証明書」での代用も可能です。これは、申請したその日にもらえます。

乾く前に泥を水で流す

水が使える場合でございますが…、

土砂で家屋が流されたり、形は留めているものの現状回復は無理そう…と言う場合ではなく、土砂や水を片付ければなんとかなりそういう場合の対処法です。

まずは土砂が完全に乾く前に水で流します
乾くと汚れが落としにくくなり、乾いた土埃が舞って大変だからです。家が濡れている間に急いで水道にホースをつなぎ、泥を流します。床板もはいで床下も洗い流します。
一度濡れた畳は乾かしても使うことはできません。床下浸水で濡れていない場合は、乾燥させれば使うことができます。

濡れた壁ははがして張り替え

壁が濡れた場合、中に入っている素材が水位よりも高く水分を吸い上げている可能性があります。壁のボードは乾燥させても再利用ができないことが多く、放置するとカビが生えて大変なことになるので、壁も張り替え推奨です。また石膏ボードは特別管理産廃になるのでほかのゴミとは区別します。行政の処分業者に便乗すると安く済みます。※床や壁の張り替えは業者に頼んだ方がいいです。

消毒をする

大規模な水害では行政が消毒してくれることもありますが、ここでは自力でやる場合の方法についてご紹介します。

泥水に浸かった部分は水拭きだけではなく、消毒液に浸したキッチンペーパーでで数分間パックしたあと、水拭きをします。行政はクレゾールなど次亜塩素酸ナトリウム系を推奨していますが、消毒薬特有のきついにおいがあるのでオスバン液がおすすめです。
広範囲を消毒する場合は、じょうろでもOK。基礎にまいたあとは、しっかり乾燥させます。
衣類や食器類は煮沸消毒かアルコール消毒をします。

基礎を乾燥させる

現在の家はコンクリートのベタ基礎なので、何もしなければ排水されません。床上浸水の場合は床をはがしてしまうので乾燥対策も取りやすいですが、幸い床下浸水で済んだという場合でも、床下に入れる場所を探して中を洗浄したあと、ポンプなどで排水することが必要です。

ポンプは風呂の水を吸い上げるものでもいいのですが、モーターが悲鳴を上げてしまうので、たくさん吸い上げるなら工業用のものがいいです。ツルミの1万円程度のものなら、泥交じり程度の水なら吸い上げられます。別にツルミでなくてもいいですけど、参考までに、こういうものを使うと手っ取り早いです。

でも最後までは吸い上げられないので、残りはチリトリでかきあつめバケツに入れたり、スポンジで吸ったりを繰り返します。

排水後は扇風機などで風を送り、しっかり乾かします。目安として1週間くらい。

浸かった電化製品はどうなる?

室外機や家の装置などが浸水してしまった場合、通電しなければ部品交換で済むことが多いですが、通電してしまうと故障し最悪丸ごと取り換える必要が生じます。これは家電も同じ。浸水した家電は通電させないことがポイントです。

火災保険の申請のタイミングは?

火災であればピンポイントですが、自然災害は広範囲で被災するため一気に保険会社に申請が入ります。損害調査も多数発生するので、早めに保険会社に連絡を入れましょう。契約している保険会社に電話をし「保険を請求したい」と伝えると、必要書類を送付してもらえます。必要書類を揃えて提出すると保険会社が調査し、保険金を決定するのです。
保険の請求に必要な書類には

  • 保険金請求書
  • 印鑑証明書
  • 事故内容報告書
  • 建物登記簿謄本
  • 修理見積書
  • 損害明細書
  • 写真
  • 罹災証明書

などがあります。罹災証明書の発行に時間がかかりそうなときは、「罹災届出証明書」での代用も可能です。

大規模な災害が他人事ではなくなってきました。この記事が、少しでも被災された方のお役に立つと幸いです。