福山に大きな地震が来たことはある? 史料に残っている被害を調べてみた




福山は地震が少ないエリアですが、日本列島自体が3つのプレートの上に載っているのですから、地震と無縁な場所があるわけがない。
そこで、過去福山エリアを襲った大地震の歴史をチェックしてみましょう。

現在「くる、きっとくる」と言われている南海トラフ地震、実は過去にも起きていて福山を襲っていたのです。

福山の震度予想は6!? そもそも南海トラフとは?

気象庁による最新の南海トラフ想定震度分布では、福山市は震度5強~震度6弱。
M8超の南海トラフ地震は50年以内に90%、30年以内70%と予想されており、「子どもの世代の時に必ず発生する」と考えていてもよさそうな地震です。
さて、この南海トラフとは、このあたりを震源とする地震のこと。

画像出展:南海トラフ巨大地震

ちなみに周期は100~150年となっています。南海トラフには

  1. 南海と東南海の2連動
  2. 南海と東南海と東海の3連動

の2パターンがあり、2連動型は1946年に発生しました。
3連動型は1854年が最後なので、周期的にはそろそろ発生してもおかしくありません。そしてこの南海トラフでの地震は、福山にも大きな被害をもらたしています。

では今まで福山を襲った南海トラフの地震をチェックしてみましょう。

南海トラフとしては規模が小さい昭和南海地震/1946年

直近の南海トラフ地震は約70年前。12月21日発生。震源地は和歌山県沖、M8、震度6。
福山は震度5。広島県内では全壊49戸、半壊74戸、けが3人、津波1mくらい。
南海トラフ地震としては規模が小さかったので、次回は早まるのではないかという意見もあります。2年前の1944年12月7日にM7.9、震度6、死者・行方不明者数1223名の昭和東南海地震が起きています。

福山も大きく揺れた安政南海地震/1854年

前々回の南海トラフ地震で、発生は12月24日。震源地は紀伊半島と四国の間、推定M8~、震度は推定6~7。
前日の12月23日に発生した安政東海地震(震源地は静岡県沖・最大震度は推定7)と合わせて「安政大地震」とも呼ばれます。当時は寅の大変とも。和歌山県の海沿いの村で、刈り取った稲に火をつけて火事と思わせ、海辺にいた村人を高台に避難させた「稲むらの火」のエピソードは安政南海地震のものです。
備後では家屋の破損や倒壊が多数発生し、石燈籠はことごとく倒れたという記録が残っています。安政大地震は大きな余震も多く発生しており、備後でも人が驚くくらいの揺れを観測しました。

未曾有の大災害となった宝永地震/1707年

3つ前の南海トラフ地震で、10月28日に発生。東海地震・東南海・南海地震が同時に発生、推定M8~9、震度7。
綱吉の側用人・柳沢吉保の記録書「楽只堂年録」によると、宝永地震による福山藩の被害報告は、福山城の塀が破損し、武家屋敷が5軒倒壊、29軒破損。城下では家屋が49軒倒壊。川の堤防が4㎞に渡り破損。鞆の浦では家屋が3軒倒壊し45軒破損。津波が来た記録があり、鞆の浦の被害は津波によるものかもしれません。

宝永地震は日本史上でも最も大きな地震の一つであり、福山でも震度5~6を観測
南海トラフのプレート全体がずれて生じた地震であるため、北海道以外の日本の太平洋側は揺れを感じており、特に静岡~宮崎の太平洋側では震度6以上の揺れが襲いました。
さらに巨大津波が襲来し、海岸沿いの集落の多くが壊滅。

宝永地震に代表される大地震は揺れの幅が大きい「長周期地震」になります。長周期で発生する津波は海峡でも減退せず、瀬戸内海沿岸に入り込んでくる恐れがあります。

この揺れは中国大陸にも伝わり、大陸沿岸部にも津波をもたらしました。

そして宝永地震から49日後、富士山が噴火。大地震と富士山の噴火が人々の暮らしに大ダメージを与えたのは、言うまでもありません。

福山の歴史で南海トラフの被害がわかるのはここまで。ちなみに史料に残っている宝永地震以前の南海トラフ地震は

684年白鳳地震
887年仁和地震
1096年永長地震
1099年康和地震
1361年正平(康安)地震
1498年明応地震
1605年慶長地震

があります。備後地域についての被害は不明ですが、いずれもM8クラスの地震なので、それなりに揺れていたのではないかと思います。

南海トラフ以外に福山で観測された震度5以上の地震

気象庁が観測を始めた1923年以降、データベースに残っている震度5以上は7件。同じ条件で東京都を検索すると72件なので、それと比べれば少ないものですが、100年の間に7つも震度5以上の地震が来ています。

地震の発生日時 震央地名 最大震度 福山の最大震度
1 1927年3月7日 京都府北部 M7.3 6 5
2 1928年2月20日 広島県北部 M5.4 5 5
3 1928年2月28日 不明データ 不明 5 5
4 1928年9月25日 伊予灘 M5.8 5 5
5 1928年10月24日 広島県南西部 M4.0 5 5
6 2000年10月6日 鳥取県西部 M7.3 6強 5弱
7 2001年3月24日 安芸灘 M6.7 6弱 5弱

なお、1981年6月より前に建てられた旧耐震の建物は「震度5程度の地震で倒壊しない」が基準になっており、南海トラフで予想される震度5~6の揺れには耐えられない可能性があります。1981年以降の新耐震の建物は「震度5程度の地震でほとんど損壊しない」「震度6強から7の大規模地震で倒壊・崩壊しない」に変わっているため、1981年以前に作られた家に住んでいたり、実家が旧耐震だという人は要注意。

まとめ

福山は地震の少ないエリアなのですが、南海トラフは間近とも言われています。
いざと言う時のために備えておいたほうがよさそうですね。