子どもに「早くしなさい」が効かない理由と、時間を守らせるコツ




なぜ子どもって、あと10分で準備をしなければならないのに、朝ごはんを食べ終えるどころかご飯粒を並べたり、パンの真ん中だけ食べて「見てママ、ぞうさんだよ」などと言い出すのでしょう?

遊ばないでさっさと食べて!

そう叫びたくなる親御さんも多いはず。

ところで、子どもってなんで時間が守れないのだと思いますか?

子どもと大人とでは時間の感じ方が違う

うすうすお気づきかと思いますが、子どもと大人では時間に対する感じ方が違います
子どもの頃、ほしいものを親にねだった時に「これはクリスマスに買ってあげる」などと言われ、そんなに待つの!? と絶望した記憶がある人も多いのではないでしょうか。私はあります。
子どもにとって1年はとても長いもの。
ですがいつからか、「あれっ、もう12月? クリスマスまですぐじゃん、プレゼント探さなきゃ…」という感じになってはいませんか?

一般的に、新陳代謝が早く、短時間に多くのエネルギーが必要になる小さな生き物の時間は早く、新陳代謝が遅くエネルギー消費がゆっくり進む大きな生き物の時間はゆったりしています。
ネズミがせわしなく動き回るのも、ゾウがゆっくり歩くのも、このため。
これは人間にも当てはまります。
音楽の速度でいうと、子どもはアレグロ、大人はアンダンテ、で生活しているような感じ。

時間の感覚が早いのに、なぜ子どもはグズグズするのか?

これは子どもの興味対象が次々と移り変わり、「時間」に意識が向かないからです。
時間の意識についてはこちらをどうぞ。

子どものダラダラを撃退! 動かない子を動かす声かけ術

2018年10月3日

そもそも時間通りに生活する人のほうが少数派

話は戻って、実は「時間を意識して行動する」という生活を送っているのは、先進国の都市部の人間だけです。
先進国では効率よく物事を進めていくため、スケジュールをぎっしり詰め込みがち。スケジュールが推すと後のスケジュールがきつくなるので、時間を常に意識せざるを得ない生活になっているから、時間が気になってしかたがないのです。
が、先進国の都市部以外では「午前中」「お昼頃」「夕方」といったアバウトな時間設定で活動しているところが多くあります。
「時間を気にして行動する」というのは、学習によって得られる部分が大きいものなんですよね。
だから、経験が少ない子どもが「あと10分で出かけるから、もうごはんを食べ終わらなきゃ間に合わない」という行動が取れるわけがないのです。
そもそも大人だって時間の見積もりミスで「やべえ、遅刻する!」なんてしょっちゅうではないですか? 私はよくあります…。

口出ししすぎると親のせいにするかも!? 時間感覚を養うコツ

しかし日本で生活するからには、「時間を意識して行動する」というスキルは身に付けなくてはなりません。
子どもに時間感覚を身に付けさせるためには

  1. 設定時間内にできるかなチャレンジ
    朝のしたくを10分以内にできるかな?
    朝ごはんを20分以内に食べられるかな?
    など、ゲーム要素を取り入れて子どものやる気をあおる
  2. 集中できる環境を作る
    子どもの気が散るもの(テレビ、ゲーム、おもちゃなど)が視界に入らないようにする
  3. 自分で決めさせる
    「昨日は遅刻しかけたよね。そうならないためには、何時に出かけるのがいいと思う? その時間に出かけるなら、朝ごはんは何時までに食べ終わったらいいと思う?」と自分で決めさせ、その時間の5分前に声かけをする

などが有効です。

とはいえ、失敗も大切な経験。何事も、失敗することで「次はやらん」という気持ちが強く生まれるものです。失敗経験がなく、いつまでも親にタイムキーパーをさせていると、たとえば寝坊しても「お母さんが起こしてくれなかったのが悪い」と言い出しかねません。

それでもスケジュールが押すようなら…

子どものタスクが多すぎるのかも。
あれもこれも「大人時間」で詰め込んではいませんか?
「なんでいつも時間通りに動いてくれないの」と思うことが多い親御さんは、子どものやるべきことの量を見直してあげましょう。
子どもは本来、いろんなものに気を取られて時間を忘れてしまう生き物。そうした時間を大切にしてあげるのも親の役割です。