読書感想文はつまるところ、「本を読むことで教訓を得た」ということを書くものです。だから教訓を得やすい内容の本を選ぶのがポイント。だからといって興味もない感動系ノンフィクションはなかなかツライ…という小学生におすすめ、冒険ファンタジーをご紹介!
児童文学のくくりに入る冒険ファンタジーは読書感想文(を審査する大人)が喜ぶ「愛・勇気・思いやり」がてんこ盛りです。それになんといっても面白いので物語の世界に入りやすい!
少年は竜を救うために旅立つ「エルマーのぼうけん」
作:ルース・スタイルス・ガネット
絵:ルース・クリスマン・ガネット
訳:わたなべ しげお
福音館書店
エルマーは礼儀正しく心優しい少年。ある雨の日、濡れた猫から「どうぶつ島にとらえられた子どもの竜がいる。つながれて川を渡るのに使われている」という話を聞き、竜を助けるためにどうぶつ島へ向かいます。
エルマーの竜を助けるという志と、持ってきた道具と知恵で次々とトラブルを乗り越えていく姿に、愛と勇気を感じられる作品。
日本語訳の主語はすべて「エルマー」という三人称になっていますが、原作ではmy fatherとなっており、エルマーの息子が書いたという体を取っています。
「エルマーのぼうけん」はわりといいところで終わっているので、その後が気になるなら後日譚の「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」をどうぞ。児童書なのですらすら読めます。
大冒険の時間はたった2分!?「二分間の冒険」
6年生の悟はダレカと名乗る黒猫によって異世界に連れて行かれます。そこは竜が支配する、子どもと老人しかいない世界。「これはかくれんぼで、時間内におれを捕まえたら元の世界に戻してやる。おれはこの世界で一番確かなものになっている」と言い残してダレカは消えてしまいます。
一番確かなものって何? この世界を支配する竜に聞いたらわかる?
しかし竜のもとに行く途中で、悟は竜への生贄になってしまいます。
ダレカ探しと、世界を支配する竜の退治の2本立て。仲間と、一人の少女の登場で少年は強くなっていきます。超王道の設定ながら、エンターテイメントではなく「児童文学」として心に「大切なものは何か?」を残してくれる作品。ナゾナゾも秀逸です。未読の大人も読んでほしい!
作者の岡田淳さんは優れた児童文学作品を多く書いており、名作揃いです。気になったらぜひ他の作品も手に取ってみてください。
冒険ファンタジーの醍醐味全部突っ込み!「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」
「ガンバの冒険」というアニメでもおなじみ(ちょっと古いが)、ガンバの物語。現役小学生であるうちの息子イチオシの冒険小説です。なお息子にあらすじを聞くと「ガンバががんばる物語」だそう。そのままやんけ。※ガンバという名前も「頑張り屋」から来ているので、あながち間違ってはいない。
町に住むドブネズミのガンバは友達のマンプクに誘われて、海を見に行きます。たどり着いた港町で、ガンバは全身傷だらけの忠太から「島がイタチのノロイ一族に襲われた。助けてほしい」と頼まれます。ノロイはネズミたちの間では関わってはいけないと恐れられている存在。他の誰も忠太に手を貸そうとしない様子に、ガンバは「自分だけでも助けに行こう」と思い、立ち上がるのでした。そんなガンバに心を動かされた仲間たちとともに、ノロイを倒す旅が始まります。
勇気、友情、諦めない心など、感想文ネタも盛りだくさん。登場キャラが多いので、好きなキャラクターの好きなところを書くだけで、読書感想文が完成します。
ガンバが登場する話は3つあり、「グリックの冒険」「冒険者たち」「ガンバとカワウソの冒険」となっています。ガンバはグリックの冒険ではわき役で、時系列では「冒険者たち」よりは後になっています(「冒険者たち」がガンバの初めての冒険だったから)。
まとめ
少々ページ数が多いので、ここでご紹介した本は低学年には向きません。高学年向けとしましたが、本好きの子なら中学年から読めそうです。
ところで、読書感想文には偉人伝記ものも向いています。なんといっても偉人のエピソードですからね、教訓を得やすいです。物語が苦手な子には、偉人もので釣ってみてもいいかもしれません。個人的にはベタですがベートーベンなどがおすすめ。くじけない心や姿勢が学べますね。女性関係にも同じことが言えたりしますけどね…
おまけ
全然関係ないけど、少年が冒険を通して成長するファンタジーというと、私、魔動王グランゾートが思い浮かぶんですよねー。かなり古い。一言でいうと「ニンジン嫌いな男の子が夏休みの間にニンジンを食べられるようになる話」です。途中から主人公の影が薄くなっていったけど、そこはご愛嬌~!