広島県内でもトップクラスの進学校として知られる広島大学附属福山中・高等学校(以下、附属と呼びます)。予備知識も殆どなかったテキトー母さんは、息子の入学後に「やっぱ附属スゴイ」と驚かされっぱなしです。そんなテキトー母さんが知った、附属の魅力や実際にかかる学費、PTAについて紹介します。
広島大学附属福山中・高等学校とは?
全国の学校に先駆けて昭和37年から中高6年の一貫教育を実施している附属。大学入学実績等の細かいデータは学習塾や受験情報誌などに譲って、ここではゆるく、テキトー母さんの印象を。
中学生男子というのは基本的に能天気な生き物ですが、それを差し引いてもやっぱり息子は毎日めちゃくちゃ「楽しそう」に学校に行ってます。学校が楽しいって本当にありがたい。附属はつまり、スゴイから楽しい学校なんだと思い知らされています。
保護者から見た附属の「ここがスゴイ」!
先生も生徒もスゴイ!
やはりまず、附属は先生たちがスゴイのです。教科の専門性はピカイチという方ばかり。1人の先生が中学の授業も高校の授業も担当されるので、中学で習うこの内容は高校でこう発展するよ、とか、大学入試にこう繋がっていくからね、とかしっかり教えてもらえ、そりゃもう解りやすいし面白い。年に1度の授業参観では「ああ、こんな授業を聞きかった!」としびれます。生徒の心をガッチリ掴むテクニックを駆使する先生も多く、息子お気に入りの先生名言は「墓石を破壊したら」と「廊下のロッカー」。
三者懇談では、この数ヶ月間の息子が家でどれだけ怠惰に過ごしていたか、神様のように当てられます。先生には全部見えている。スゴイです。
そして、生徒たちもスゴイ。数学や物理などの「国際〇〇オリンピック」なんかでメダルを獲ってくるとんでもない頭脳が、ほぼ毎年現れます。運動部や文化部で全国大会入賞の活躍をする生徒もいます。オリジナルのゲームを作ってずっとやってる人たちや、休み時間に入試問題の解法を楽しそうに激論しているグループなど、スゴイ人たちがゴロゴロしているのが附属です。
校則・宿題、ほぼゼロ
校則もほとんどなければ、ベルもチャイムも鳴らない、自由な校風を誇る附属。
うちの近所の中学では指定のバッグや靴がありますが、附属は何でもOKです。
そして驚いたのが、宿題が出ないこと! そんなはずがないと先生に確認すると、「この子たちは自分が今、どこをどれだけ勉強する必要があるのか、自分で一番解っています。全員同じ宿題なんて必要ない。そんなものは時間の無駄です」とのお言葉。しびれました。当然、それをいいことに勉強をサボった息子には相応の成績が…。
たまのレポート課題がハイレベル
とは言っても、時々レポート課題も出るんです。それが笑っちゃうぐらい難しい。
この間の英語の課題は、「学校でイグアナを飼うことについて賛成と反対の両方の立場から80語程度で意見を述べよ」でした。
びっくり! 中2の選択授業
中2では「選択授業」があり、数学、美術、書道、技術などの中から好きなものを選べます。この授業がまたスゴイ! 息子は「理科」を選んだのですが、卵と工作用紙1枚を与えられて「3階から卵を落としても割れずに着地できるよう、工作用紙だけを材料に使って工夫せよ」。パラシュート系に挑む人や、バネのようなもので衝撃緩和を試みる人、卵を救えた人救えなかった人、いろいろいたようです。
自由すぎるランチタイム
附属は弁当持参が基本ですが、学食と売店があります。息子おススメは日替わり定食440円、またはラーメンセット410円。パンやジュース、冬には肉まんもあります。
自由な附属では教室や食堂内だけでなく、中庭や花壇の側でのランチも可。そして何を持ってきてもOK。毎日ピクニックも夢じゃありません。おやつに生八つ橋を箱ごと持ってくる強者もいたそうです。
全教室エアコン完備
福山市でもようやく5年計画で全小中学校の教室にエアコン設置の動きが出てきましたが、附属では既に完備されており、快適に学習できます。なぜこれが実現しているのかは、のちほど。
スゴイぞ、情報教育センター!
2002年に完成した情報教育センター「ローズ」は、5万冊所蔵の図書館、情報処理演習室や語学演習室、マルチメディアホールなどがあるオシャレな施設です。1年生でみっちりとパソコンの使い方を教えてくれるので、レポートはワードでサクサク。図書館ではPCで図書検索もできます。
生徒だけでここまでやる? 体育祭
5月の体育祭では、道具係や会場設営といった裏方の仕事を、生徒たちが会議を重ね役割分担してこなしています。「應援団」の応援合戦も見ものです。圧巻は「華共(はなきょう)」と呼ばれる「華の共演」で、全校生徒が共に、生徒自身が考え、皆で練習を重ねたダンスを披露します。テキトー母さん、感動で泣けちゃいました。
生徒だけでここまでやる? 学友祭
9月には文化祭にあたる「学友祭」があります。全クラスが1つずつ企画を出すのですが、その中身がやっぱりスゴイ! 2018年度の中3は、自主製作映画上映、メリーゴーランド、恐竜の世界、を企画しました。これ、全部生徒たち自身でやるんです。
例えば実際に人が乗れるメリーゴーランドを出したクラスは、設計から製作、装飾まで、皆で試行錯誤を重ねて作り上げました。2年の選択技術で学んだ金属加工の技も駆使。学友祭当日は小さな子どもたちの歓声が響きました。
生徒を信頼し、自由に企画させる先生。自由だからこそ試行錯誤し、友達と協力して実行する生徒。信頼と自由の中で、生徒たちは自ら学び、伸びていく。これが附属の姿です。
気になる学費は?
国立なので中学に関しては授業料はなし。春に保護者組織の会費を払うほか、必要に応じて副教材費や、見学時のバス代などを出します。教科毎にちょこちょこと「〇月△日に問題集代712円をおつりの要らないように」などと集金があるので少々メンドクサイ。
入学前に買ったのは制服、体操服、スリッパなど6万円ちょっと。
入学後の中1の春には、後援会費3万円、助成会費4万2千円、副教材費合わせておよそ1万6千円を払いました。
その他、リコーダー4,300円、絵の具セット数千円、竹刀数千円などがありました。すみません、テキトー母さん、家計簿もテキトーです。リコーダーは小学校で買ったぞ、と思いましたが「ジャーマン式ではなくバロック式が必要」で新たに購入。剣道は1年生で男女とも習うのですが、男子のみ全員、マイ竹刀が必要です。
ちなみに後援会費は1口1万円。何口するべきか毎年地味に悩むところです。
PTA的保護者組織が2つある!
最初は戸惑った2つの保護者組織。どちらも巨額のお金を動かしています。そうです。エアコンやPCなどの費用は、ここから出ていたのです。
「教育助成会」はバザーがメイン
「教育助成会」を支えるのは本部役員と学年役員の方たち。主な活動は学友祭でのバザーと、PTA連合会の会合や研修会への参加、年1回のスクールコンサートです。いわゆる「PTA」がこっちですね。
学年役員の仕事は、ずばり、バザー。その目的はエアコンの更新費用の捻出です。なんと年1回のバザーで、息子の通った小学校のPTA年間予算以上を稼ぐ衝撃の組織力! 役員さんは春からどんなものを用意するか知恵を絞り、学年ごとに手作り品を作る講習会を開いたり、当日の売り場を担当したり。講習会には来られる人が来て和気あいあいと作品製作に協力するという感じです。通学に1時間かかるような子もざらにいるので、保護者が集まる機会は少なく、この講習会は貴重な交流の場です。ちなみに役員は毎年もめることもなく決まり、この辺もさすが附属と思います。
「教育後援会」は設備の充実のために動く
もう一つの「教育後援会」は、在校生保護者と卒業生、OBなどからなる組織です。会費は附属の設備更新や新規購入に充てられます。総会資料を初めて見たときには、その予算の桁がすぐには読めなかったテキトー母さん。OBたちにも支えられ、充実した教育設備で学べるのも附属の強みの1つのようです。
生徒たちがとにかく楽しんでいる学校、それが附属
自由と信頼、そして充実した設備の中で、生徒を伸ばす附属の教育の魅力を保護者目線からお伝えしました。附属の様子をもっと知りたい方は、ぜひ、体育祭や学友祭へ! 彼らの楽しそうな顔を見れば、附属がどんな学校なのかがわかりますよ!
執筆:chococakes