小学校では中学、高校、大学へとつながる勉強の基礎の基礎を学びますが、4年生あたりから応用的な内容になってくるので「勉強がわからない」という子が増えてきます。そこで元校長のワコ先生が「小学生の基礎学力を上げるコツ」を教えてくれました。
20までの足し算・引き算を完全マスターする
算数を苦手にしないコツは、20までの足し算・引き算を完璧にすること。九九を暗記するように、20までの足し算・引き算も「見ただけで答えが出てくる」ように暗記してしまうことが算数を苦手にしないコツです。
というのも、どんな複雑な計算も結局は20までの足し算と引き算で行うので、20までの計算が完璧な子は算数の理解度が早め。計算につまづくこともないので、凡ミスでの点のとりこぼしもありません。
計算力がついてくると、算数の点がよくなるので自信につながり、算数以外の教科にも好影響を与えます。
20までの計算は1年生で習いますが、学年が上でも苦手意識を持っている子は完璧に覚えることを目指しましょう。
目標タイムは1分です。
簡単なドリルを反復学習する
勉強が嫌いになるのは、「わからないから面白くない」ためです。
なら、わかる問題をさせてあげればいい。自分の持っている知識でどんどん正解が出せれば、勉強もクイズやゲームと同じ、面白く感じます。
面白く感じさせるためには、簡単なドリルの反復学習がおすすめです。親御さんとしては「基礎がわかるならもっとレベルの高い問題をさせて、応用力をつけたい」と思うかもしれませんが、基礎はとても大切。そして学習において反復学習は知識を定着させるために欠かせないものです。
そしてほめる。できたら「すごいね!」と必ずほめてあげましょう。親に認められて嬉しくない子供はいませんし、ほめられるとやる気も出てきますし自信にもつながります。
勉強が得意な子、余力がある子は同じ単元でも少し難しい問題にチャレンジしていきましょう。
そうではなく、子供を「勉強ができない子」にしたくないなら、まずは簡単な問題をさせて、子供の「これ、わかるよ!」を積み重ねていくことが大切です。
学年別「学習時間の目安」はあくまでも目安
学校によっては家庭学習の時間の目安を定めているところもありますし、いろんな会社が小学生の学習時間を調査しています。
でもそれはあくまでも目安であり、平均値なので、親御さんはデータに振り回されないでください。
目安は習熟度です。
グラフをつけてみる
テストの点が平均点より低かった学校を、平均より高く上げた時の取り組みです。
グラフを読む能力を育てる
子供たちに毎朝、学校にある温度計で気温や湿度を記録させ、グラフにしてそこからわかることを調べさせ、わかったことを模造紙にまとめて発表してもらいました。
温度に関するグラフから読み取れることはたくさんあります。子供たちは関係する分野をいろいろ調べて「データの研究」をしてくれました。
この取り組みで子供たちは、少なくとも「グラフを読み取る」という能力を身に付けます。
高学年になると内容が応用的になり、グラフでの説明が始まってきますが、グラフが読めない子は意外に多い。グラフからデータを読み取ることができなければ、授業が理解できない→勉強がわからない、という展開に陥りやすいのです。
能動的な学習は学力を上げる
またそのグラフから「何が読み取れるのか」という訓練も大切です。たとえば2011年時点での日本のカロリーベースでの食料自給率は39%ですが、このグラフからは何がわかるでしょうか?
わかることを一方的に教えることは簡単です。そこをあえて自分で考える「能動的な学習」を受けた子供のほうが、先生から一方的に知識を与えられる「受動的な学習」を受けた子供よりも学力が高い傾向にあることがわかっています。 近年の小学校で「グループで調べてわかったことをみんなの前で発表する」というスタイルが定着してきているのは、こういう理由からです。
これを自宅でも取り入れてみましょう。
月の満ち欠けでも、日の出・日の入りの時刻でもなんでもOK。毎日観察し、蓄積されたデータから何が読み取れるのか、親御さんはお子さんから聞き出してあげてください。
もちろん、「冬より夏のほうが暑い」というような、大人なら知っている、という内容でかまいませんよ。ここから、なぜ冬は寒く夏は暑いのか、一緒に調べてあげるといいですね。
取材協力:西野和子(元小学校長)