雨の季節がやってくると、思い出すのは2018年の豪雨災害ですね。福山は地震は少ないものの、台風と豪雨は避けられない地域です。2018年の豪雨は、あんなおそろしいことになるとは思わなかった武藤家は、当然なんの備えもせず、7月7日の朝には周囲の田んぼも道路も水没し、水の中の一軒家となっていました。冗談抜きで千と千尋の神隠しに出てくる、線路から見える家のような。
幸いなるかな被害はありませんでしたが、備えは必要! それも地震ではなく豪雨の! と思ったものです。
そこで具体的な備えについて調べてみました。
家の外の備え
現在、市街地の道路はほとんどアスファルト舗装されていますよね。アスファルトは水を通さないので、道路に降った雨は雨水ますや側溝から雨水専用の下水管に集められ、そのまま海に排水されます。
雨水ますを掃除する
【まちづくり推進室】「雨水ます」は、雨を下水管に流す入り口です。ゴミや落ち葉がつまると浸水の原因にもなります。台風が近づいているように、大雨の心配される季節になりました。雨水ますの周りはいつもきれいにしておくようご協力をお願いします。 pic.twitter.com/m92aqBObL1
— 名古屋市東区役所 (@HigashikuNagoya) 2014年7月9日
雨水ますとは、道路の横にあるこういうもの。ここにゴミや枯葉などが詰まっていると水が流れず、周囲に水があふれて水浸しになります。自宅付近にある雨水ますは掃除しておきましょう。
道路上にカーステップやプランターを置かない
一般的に道路は中心が盛り上がり端に寄るほど低くなっています。これは道路に水をためないため。雨水は道路の端に集められ、雨水ますや側溝から地下の雨水管に入り海に排出されます。だから、水の通り道になる道路の端っこに物を置いて水の流れを遮断するのはNG。
特に家の敷地の前に歩道などがあり、車道と段差があるような場合にはカーステップを置きたくなります。でも道路の端は水の通り道でもあるので、カーステップは置かないほうがいいんですって。
また、プランターなども見かけることがありますが、こちらは排水の妨げになるだけでなく事故の原因になることもあるので、やめておいたほうがいいです。
土嚢を用意する
済んでいる地域の水害レベルが高い場合は、土嚢も用意しておいたほうがいいでしょう。
土嚢とは、袋に土を詰めたもの。積み上げることである程度浸水を防ぐことができたり、水の流れを変えることができたりします。床下浸水はまだしも、床上浸水にでもなったらもうそのあとはめちゃくちゃ大変です。武藤家実家は2018年災害で床上浸水に遭ったので、その大変さはよぉぉぉくわかっています。ええ、いざ水が攻めて来たり、土砂が崩れてきたりしたら防ぎようはありませんが、何もしないより、できる対策はしておいたほうがいいです。
土嚢に関しては自治体が用意しているので、どれくらい支給してもらえるか確認しておきましょう。福山市の場合は危機管理防災課。
車を避難させる
車は、床より上に水が来ると故障します。高さにするとだいたい20cmくらい。浸水のおそれがある場所に駐車している人は、車を高い場所に避難させておきましょう。私は昔、東手城の海に近くに住んでいたのですが、台風+高潮で住んでいたアパートの基礎部分が水没。アパートの人たちは車を高台に避難させていました。海水ですからねー、一発で故障ですよねー。
家の中の備え
家の中でできる対策についてご紹介します。
排水溝の逆流に備える
豪雨時、屋内では主に「下水が逆流する」という現象が起こります。
- 洗濯機・洗面所の排水口に水嚢を置く
- キッチン・トイレに水嚢を置く
下水とつながっている部分は逆流の可能性があるので、「水嚢」でフタをしましょう。水嚢とは、土嚢の仲間で袋に水を詰めたもの。40~45Lの大きめなビニール袋を二重にして半分くらいまで水を入れ、空気を抜いて縛ります。逆流してくるおそれのある場所に水嚢を置いておくと逆流防止に。トイレは便器の中にドンと入れますよ。
<拡散希望>
大雨特別警報って
歴史的大雨予報なんですよ。数十年に一度ってレベルの危険度なので
危機管理はしっかりしてください。トイレや風呂場から逆流する可能性があるので寝る前に必ず水のうを付くってふたを閉めてください。
起きたときにうんこの湖ができあがる可能性あります。 pic.twitter.com/poX8fwjWbO— ムっぽ (@mu_ppo_) 2018年7月6日
大切なものは2階に避難させる
- 貴重品をまとめておく
- 水に濡れたら困るものを2階にあげておく
土砂が崩れて家屋が崩壊したり、2階まで浸水する…という被害にでもあわない限りは、貴重品や持ち運べる家財道具は2階に上げることで助けられます。実家は西日本豪雨のとき、すでに避難していたので1階部分は全滅しました。大きなものは無理だけど、あれこれ上ら運べていたら…と思ったのですが、後の祭りでございます。意外にも冷蔵庫は生き返りました。
火災保険で家を直すためには、保険の書類も必要です。そういうものもまとめておいてください。土砂崩れの危険性が高い家の人は、金庫に入れておくと安心かも。(家ごと流されたら見つかるまで時間かかる可能性ありますけど、無防備な状態よりはマシかと…)
断水への備えも必要
実家は尾道だったので、2週間くらい断水していました。三原の郷分取水場が沼田川氾濫で浸水し送水不可能に。断水に関しては土砂災害とあわせて被害甚大な地域に対しては護衛艦も出動していましたが、尾道三原因島だって土砂崩れは起きていたし、断水してたんだよう……
断水はもうどうしようもないとして、断水への備えも必要だなと思いました。
- 水を入れる容器
- カート
断水すると水をもらいにいかなくてはなりません。水はすごく重たいです。
- 使い捨て容器(浅い皿・深い皿・紙コップ・割りばし)
- ラップ
水がないので食器は洗えません。使い捨ての紙皿にラップを巻いて使い、ラップだけ捨てるのが基本。
- ウエットティッシュ・汗拭きシート
水がないので手も顔も洗えません。豪雨災害は夏に起こりやすいので、お風呂に入れないのもつらい。体用のシートは介護用品にあります。個別包装タイプは乾燥しないのでおすすめ。
- 飲料水
給水車の水はキレイとは言えません。飲料水は別に確保したほうがいいです。西日本豪雨の際もスーパーやコンビニから真っ先になくなり、長く品薄だったのがペットボトル入りの水。続いてスポーツドリンク、お茶の類。
確保しておいたほうがいいったって、断水がいつ解決するかわからない場合は、どうしようもないですけどね…やっぱりちょっとはストックしておいたほうがいいものかなと思います。精神的にも「水…水がほしい…水はどこ…」と捜し歩かなくて済むのでだいぶ楽。
- 非常食
水と一緒に店から一気になくなったもの、それが食べ物。特におにぎり・パンなどすぐに食べられるものは真っ先になくなりました。また物流が止まっているので補充されることもなく…食べ物に関しては「在庫限り」なので、これも多少はストックを持っておいたほうがいいです。
食品・飲料水は最低3日×家族分。
水は1人1日2リットル程度必要です(調理分除く)。4人家族なら12本のストックが必要になる計算。
- 携帯用トイレ
断水していると当然トイレも使えないです。
簡易トイレは用を済ませると袋を交換する仕組みなのですが、4人家族×7日間の場合、
- 毎回交換するなら200枚
- 誰かが大をするたびに交換するなら60枚
- 朝晩で交換するなら14枚
くらいは必要になる計算。
流せないのでにおいも深刻。消臭凝固剤と併用するといいです。(携帯用トイレ袋には付属していることが多いですが)
- ガソリン
最後にガソリン。災害に備えるには、ガソリンが半分になったら満タンにしておくのがベストだそうです。ゲリラ豪雨はわかりにくいけど、西日本豪雨も台風も予報が出ていました。災害の気配がしたら、ガソリンを入れておく癖をつけておいたほうがいいかなと思いました。
まとめ
西日本に大雨が降る予想は、週間予報ですでに出ていたように思います。でもあんな大雨が、あんな長時間降るとは思わなかった。
西日本は地震が少ないこともあり、東日本に比べて意識・物品ともに災害への備えが薄いように思います。でも、備えがないと「水も食べ物もない。なんとか手に入れなくちゃ」という心理的圧迫感がすごいです。知らなかったから、トイレの逆流にも慌てました。
とはいえ、台風・豪雨は地震のように「ある日突然」ではなく、ほんの少しですが時間的な余裕があるのも事実。ハザードマップを確認し、避難場所・避難経路についても確認しておいたほうがいいなと思いました。